ニュース 2009/10/09【大手町ネットワーク研究統括センター関連】

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Super Computing 2009(SC09)出展概要
   〜Super Computing09にて新世代ネットワークテストベッドを用いた実証実験をNICTブースで公開〜

SuperComputing2009(SC09、2009.11.14-20、米国オレゴン洲ポートランド)では、単体のコンピュータの処理速度を競うのではなく、世界中に分散したコンピュータを高速ネットワークで接続することで、データ処理の多様性・高速性を検証することを目的とし、これらに類する各種実験・研究発表・デモンストレーション等が精力的に行われます。広帯域ネットワークと高度データ処理速度が複合した研究成果について評価を行う世界でも有数のイベントとして、非常に注目が高いものであります。
NICTは、SC09における展示で、高速データ伝送・処理の研究分野におけるNICT及び国内外の研究機関との研究成果について公開します。宇宙天気予報の可視化、絵画のテラヘルツ波による材料解析、気候センサによる環境データの収集等のデータ処理が非常に膨大である研究内容については、現地でのデモンストレーションだけではなく、新世代テストベッドネットワークであるJGN2plusを用いた国内外の研究機関による研究成果についての展示を行います。ネットワークに関する実証実験としては、GLIF、Internet2等との協調により、G-Lambda、DCN等複数の動的ネットワーク制御されている国際ネットワーク間を相互接続する実証実験を行います。また、NICTの委託研究として実施しているNTTによる研究の実証実験として、自律的にアプリケーションとネットワークが協調してネットワークと帯域の最適化を行うデモンストレーションを、PRESTA 10G及びIP/光ネットワーク仮想化を用いることによるデモンストレーションを行います。

■宇宙天気予報(NICT)■
宇宙環境の太陽フレア、磁気嵐等による変化により、人工衛星の電子機器の損傷、通信障害、送電線の異常電流の発生、宇宙空間にて作業する宇宙飛行士の健康被害などの悪影響が発生する可能性があります。これらの災害を防ぐために、宇宙天気予報の研究では、観測・モデリング・計算機によるシミュレーション・IT技術を用いています。今回のSC09では、大型ディスプレイ・回転型LED表示装置等の技術を展示して、大規模計算結果を可視化する研究成果を展示します。


写真1:宇宙天気予報の可視化の例

写真1:宇宙天気予報の可視化の例

■テラヘルツ波長帯の活用による絵画分析(NICT)■
テラヘルツ帯(THz)の波長は、新しい非破壊検査法として世界中でも広く注目されています。今回は、このTHz波を用いることによって、絵画の材料解析としてX線でも赤外線でも見ることが出来ない新しい構造を見ることが可能になりました。今回のSC09は、THz波を用いたルネサンスのGiottoによるPolyptic of Badiaの分析を行いデータベース化したものをタイルディスプレイウォールを用いて可視化したものを展示します。


写真2:タイルディスプレイウォールを用いた絵画可視化

写真2:タイルディスプレイウォールを用いた絵画可視化

■映像アプリケーション・NW制御の連携による動的ネットワークトポロジの再構成(NTTによる委託研究の成果)■
アプリケーションに対してネットワーク側からフィードバックを行い、オンデマンドに必要な帯域の光パスの設定を行い、逆に帯域が不足している場合はアプリケーションに対してフィードバックを行いビットレート変更の実施等のアプリケーションとネットワークの協調を行うデモを行います。非圧縮HDTVストリーム映像を伝送するアプリケーションが、光ネットワークを制御する装置と協調することで、帯域が確保された光パスをオンデマンドで確立します。更に、遅延の変化等の情報についても協調する為、アプリケーション側での設定も動的に変化する事が可能です。この新しいIP/光ネットワークの仮想化は、仮想的なIPネットワークの動的制御だけでなく、トラフィックパターンによってのネットワークトポロジの動的制御も可能になります。更に、PRESTA10Gと呼ばれるストリームトラフィクの高精度・高解像度な品質(ジッタ、遅延、トラフィックバースト等)測定を行う事により、SNMP等では捉えられないトラフィック品質の変動の可視化と映像品質への影響を展示します。PRESTA 10Gプラットフォームによるハードウエアによる処理を利用する事によって、リアルタイムでネットワーク品質が映像品質に与える影響を見ることが可能になります。これらの測定はMicro-Second単位で見ることが出来る為、SNMP等では捉えられないデータを測定する事が可能です。


写真3:映像アプリケーション・NW制御協調におけるSC09でのデモ構成

写真3:映像アプリケーション・NW制御協調における
SC09でのデモ構成


写真4:PRESTA10Gの表示例

写真4:PRESTA10Gの表示例

■仮想ネットワークの自動構築技術の展示(KDDI・産業総合研究所による委託研究の成果)■
GLIF にて開発されたミドルウェアが、アプリケーションに要求に応じ世界のダイナミックネットワーク(G-lambda、JGN2plus DCN、Internet2 ION、EU Harmony)と宇宙天気予報のPCクラスタを接続します。地球規模のクラウドネットワーキングを、シームレスに実現する世界初の試みであります。


写真5:仮想ネットワークの自動構築のSC09でのデモ

写真5:仮想ネットワークの自動構築のSC09でのデモ

■地球環境観測のための広域センサネットワーク(奈良先端技術大学院大学・NICT)■
奈良先端科学技術大学院大学、NICTおよび産官学で構成される広域センサネットワーク(Live E!)に関する展示を行います。本プロジェクトでは日本を始めタイ、台湾、インドネシアなどアジア圏を中心に気象センサを設置し、インターネットを通してセンサ情報の共有を行っています。そして、これらデータは水害対策や避難勧告、教育教材やビルの省電力化など様々な分野で利用されています。このような活動概要を示すとともに分散データ共有基盤の説明し、インターネットを通したリアルタイムのデータアクセスやセンサ情報の可視化を行います。また、実物のセンサセットの展示を行い、会場の気象情報を表示するデモも併せて行います。


写真6:LiveE!センサの展示

写真6:LiveE!センサの展示

■長距離データ共有システムの高速化(東京大学・NICT)■
東京大学、NICTおよび産官学で構成されているData Reservoir (DR) プロジェクト活動の一貫として JGN2plus / SINET3 / StarLight / National Lambda Rail / Pacific Northwest GigaPop / Pacific Wave / IEEAF / T-LEX / WIDEといった世界各国の研究ネットワークや相互接続点を連携させた国際ネットワークシステムを構築し、レイヤ間協調最適化技術及び複数ストリーム同調最適化技術を利用して、世界規模のネットワークシステムにおける限界レベルの高速伝送を実現します。


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