研究の概要
当研究室では、地域コミュニティの情報化、活性化を図るためのアーキテクチャ・ミドルウェアの研究開発を行なっており、JGNはその実証実験の場として利用しています。
具体的な活動としては、地域コミュニティにおいては、地域CATVのコミュニティチャネルの交換や地域団体の講演会の遠隔受信、地域における遠隔公開講座の交換などが、学術コミュニティでは、国際会議・国内会議の同時開催などを行なっています。
地域コミュニティにおいては、安価に利用が可能な支援ツールが求められており、当研究室では、オープンソースによる継続的な開発体制を作ることを視野に入れて、このような支援ツールを体系的に整備することを目標に、地域の電子コミュニティ活動を支援するコミュニティウェア(ミドルウェア)の研究開発を行なっています。具体的には、ホームページ支援ツール「COMET
(Community Ether) *1」、遠隔講義ソフト「RMS (リレーショナルメディア統合システム)
」などの研究開発を行なっています。
*1 COMETのプラットフォームはEジャパン協議会eコミュニティ推進部会(三木委員長)にて開発されました。
これまでの成果
遠隔講義ソフト「RMS」は、当研究室とベンチャー企業である(株)アーネットとの共同研究により開発されたソフトで、すでに商品化され、2003年8月から自治体を中心に販売が開始されています。有料の市民講座や市民カレッジなどでの利用が見込まれており、すでに飯田市、三鷹市などに導入されています。
一般的に遠隔講義では、スライドや板書、ポインタの位置が見にくくなってしまう点が問題となりますが、RMSではこれらの情報を映像・音声とは別にデジタルオブジェクトとして送ることにより、この問題を解決しています。
社会的貢献
電気通信大学のある調布市では、現在市の情報化基本計画を策定中で、電気通信大学は3年前の検討開始当初からこの計画に関与しており、私は基本計画策定委員会において昨年度まで委員長として活動を行っていました(今年度は同大福田教授が委員長)。基本計画ではインフラは事業者にまかせますが、地域活性化対策に必要なアプリケーションを実現するためのミドルウェア導入が考慮されています。当研究室ではこれまでの経験を踏まえ、市民講座、地域コミュニティ活性化、防災対策、地域データセンターなどの基本計画策定を支援しています。
また、ホームページ支援ツール「COMET」の開発と提供を通じて、商工会・地域商店街・地域サークルのWEB作成を支援するなどコミュニティの活性化にも貢献しています。
JGNについて
JGNは広帯域である点が研究を行う上で非常に効果的でした。当研究室で開発しているソフトウェアでは、現在のインターネットでも使えることを重視していますが、遅延を吸収するためにバッファを入れるとリアルタイム性に欠けるものとなります。したがって、JGNを利用することで、広帯域ネットワークでの効果などを検証することができ、ソフトウェアのテストに効果がありました。
また、利用期間についても、5年間という比較的長期間継続して利用できた点が良かったと思います。JGNは研究者にとって有効な実験環境であり、産学連携にも効果がありました。他にも、NOCの障害対応は迅速で、全般的に非常に使い易いものでした
ただ、課題としては、アクセス回線(足回り回線)の問題が大きいのではないでしょうか。電気通信大学は恵まれており、学内のケーブルさえ確保すれば良かったのですが、アクセス回線確保の問題で接続機関が限られてしまい、それが実証実験の制約となる場合もありました。
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