研究の概要
在宅の重症患者を看るシステムを開発し、患者宅にブロードバンド回線を引いた実験を計画していました。また、NTSCからハイビジョンクオリティへ画質を向上する研究も予定していました。しかし、高松から松山までの足回り回線費に予算の半分が必要という予定外の支出要請があったこと、また、マンパワーに関しても、予算の関係で予定していた企業からの出向者の協力を得ることができないなど困難な状況での研究となりました。
したがって、研究の内容を「ビジュアルセンシングシステム*1」に的を絞って実施しました。
*1 取得した画像データをセンサー情報として収集、利用するシステム
これまでの成果
この研究で、遠隔地から患者の呼吸や顔色等の状態を監視するシステムを構築しました。これは、監視する部位を必要な部分に絞り込み、その差分情報を送信するもので、患者のプライバシーを重視したシステムになっています。また、寝返りを打っても、自動的にその関心領域(ROI:region
of interest)を追尾するシステム仕様になっています。
また、この研究に関連した技術により取得した特許もあり、さらに、研究成果を製品化することも検討中で、現在、地元の民間企業に技術提供することによって鋭意開発中です。
他機関との協調
研究開始当初、香川医科大学とネットワーク接続を行い、共同研究を行うこととしました。香川医科大学とは以前から交流があり、接続実験の様子はJGNのイベントとして多数の方に参加していただけました。
平成13年度に、JGNのアクセスポイントが愛媛大学総合情報メディアセンターに設置され、現在、工学部、医学部及び農学部がJGNに接続されています。これにより、愛媛大学のネットワーク研究者の能力が向上するとともに、QoSの研究を開始できたと伺っています。
一方、医学系の研究においても、ネットワーク研究者と共同研究を行うことができるようになり、福祉、工学系のアプリケーションの開発を推進できました。
JGNについて
JGNは高速回線であるため、大容量データの送受信が可能であり、今後ギガビットクラスのネットワークが低価格で使えるようになれば、医療ユースが一気に爆発することが予想されます。したがって、この研究においては、JGNを非常に有効に活用させていただきました。ただし、いつでも希望したその時にJGNを利用できれば良かったのですが、当然ながら予め利用申請をする必要があり、申請した日程どおりにネットワーク設定等の準備ができないケースも考えられますので、Web上で利用スケジュールを表示し、空いている時間があればユーザが予約して使えるような仕組みがあれば、さらに良かったのではないかと感じました。
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