JGNネットワークオペレーションセンターの業務の範囲を教えてください。
TAO資産である交換設備と、回線設備の管理を一元的に引き受けているのが、JGNネットワークオペレーションセンター(通称、JGN-NOC)になります。
最近、JGNではIPv6ネットワークの運用が開始されましたが、これは対象外であり、JGN大手町IPv6システム運用技術開発センターが運営を行っています。
ネットワーク的にはATMのUBR-PVCサービスが原則です。OSIのレイヤモデルで言えば原則として、レイヤ0〜レイヤ2までということになります。
UBR-PVCサービスが原則ということを、もう少し詳しく話していただけますか。
UBRというのは帯域保証がないということです。これに対してCBRが、帯域保証のあるサービスです。JGNではCBRによる帯域保証の利用は、一次利用の場合に使えるということになっています。動画伝送などではセル落ちを気にされる方が多いので、イベント利用にはよく使われています。また、PVPの利用も可能です。研究者によっては、PVPの割り当てを受けて、その中に自分でPVCを設定して使う方がおられます。PVPの方は期間限定ということではありませんが、原則PVCですので、PVCからPVPへの変更申し込みが必要になります。
全国のアクセスポイントの運営もこちらであると考えてよろしいのでしょうか?
はい。大学の計算機センターや自治体の施設など全国で64箇所にあるアクセスポイントを遠隔監視し、一元的に運用しています。
研究者にとっての接続の流れはどのようになりますか?
研究者は、TAOとの研究契約をします。同時にTAOギガビットセンターはJGNネットワークオペレーションセンターへパス設計および設定を依頼します。JGNネットワークオペレーションセンターは回線設計をし回答(JGN利用条件)をTAOギガビットセンターへ返します。TAOギガビットセンターは、JGN利用条件を研究者へ返します。その後研究者は足回り回線を確保し、必要機器等の設定をし研究を開始するという手順になります。
ATMマルチキャストの利用もされていると聞いています。
これもイベントなどでよく使われます。これまで8回行いました。利用者側から見ると問題なく使えるようになっています。
運用サイドでは、かなり大変なのでしょうか?
こちらでは、5種類のATM交換機からなるマルチベンダ環境で運用していますので、それぞれのATM交換機によって設定の仕方が異なります。イベントがあるときにも、通常の利用者がおられるので迷惑がかからないようにしないといけません。ATMマルチキャストは、ATM交換機でデータをコピーして分岐させる必要があるのですが、それをどこでやるかが問題になります。トポロジー的には多少変でも空いているのはここしかないから・・等と職人技的に構成していくことが実際には必要になります。
イベント関係で、ATMマルチキャスト以外に大変なことはありますか。
イベントのときに問題になるのは、会場までの接続がイベントの直前になることが多いということです。会場の使用が前日から可能になる場合などがあるので、エンド-エンドでの接続確認(導通試験)が前日になることがおります。どうしても時間が足りず、チューニングが不足することが起こります。
申込み自身はルール上、イベントの1ヶ月前までに行うということになっています。イベントの1ヶ月前に申込みがあれば、ATMマルチキャストの利用も十分可能です。1ヶ月前までに申し込む必要があるもう一つの意味は、イベントが重なったときの調整が必要なためです。過去にも実際にイベントが重なったことがありました。
イベントのために太い帯域を確保すると言っても、機器の設定作業が多くなるわけではないですよね?
例えば50Mしかない帯域に、40MのCBRを張ると、いつもそこを使っているユーザにとって10Mしか残りません。影響は非常に大きくなります。回避するやり方はないのか調べたり、影響に関する問い合わせに対応したりと種々のことが必要になります。
よくある問い合わせはどのようなものがありますか?
JGNホームページ中にもFAQの記載があります。これは、JGNネットワークオペレーションセンターへのよくある問合せを集めたものです。こちらにも掲載されていますが、JGNまでのアクセス回線(足回り)に関するものが多いですね。
アクセス回線との接続での問い合わせとは、具体的にはどのようなものですか?
150Mの物理インタフェース(OC-3)が使われるケースが最も一般的ですが、長距離用のシングルモードと短距離用のマルチモードがあります。接続装置によってはシングルモードのみに対応している場合があります。こうした点についての質問もあります。例えば30Mや40Mの足回りを契約する場合にも、この150Mのインタフェースを使うケースが一般的です。600Mの物理インタフェース(OC-12)も使われています。 |