Vol.11 高速・広域ネットワーク上でのマルチキャスト伝送を応用したプラント設備のコラボレーション遠隔診断に関する研究(JGN-P112553) | ![]() |
▲株式会社高田工業所 技術本部技術開発部次長 技術士(金属部門) ▲株式会社高田工業所 技術本部技術開発部課長 工学博士 ▲九州大学情報基盤センター 助教授 岡村耕二 先生 |
株式会社高田工業所 技術本部技術開発部次長 技術士(金属部門) 安西敏雄 氏 ◆はじめに
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![]() (太田)弊社は、プラントエンジニアリングを行う会社で、設計・施工・保守を一貫して行っています。最近では、お客様である工場側も新しく設備を入れるよりも、既存のプラントを、保守しながらできるだけ長く使いたいというニーズが高まってきました。 |
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▲コミュニケーションソフトウェアの利用の様子(クリックで拡大) ▲高精細画像の受信画像(クリックで拡大) |
![]() (安西)最初に全体的な様子を議論するには、ホワイトボード機能もあるコミュニケーションツールが有効です。このツールは特に印象に残りました。大まかな状況をつかむためには、音声とフレームレートの高い映像が便利です。徐々に問題となる箇所が特定できてくると、フレームレートは低くても良いので、高精細な画像を送ってもらいたいということになります。静止画でも十分に役に立つので、実際に静止画を送ってもらって観察するということも行いました。 ![]() (安西)実際、ほとんどがネットワーク越しで可能なのではないかと思いました。予想していたより大分上回っていました。もちろん、カメラを映していないところで、重要なことが起きているかもしれません。実際にすべてがネットワーク越しに仕事が終わるというわけではないと思いますが、必要な情報は十分にネットワークで送れるとわかりました。 ![]() (太田)実際のプラントに接続して実験を行いたいと考え、いくつかの会社にお願いをしましたが、結果としてはできませんでした。ひとつはJGNへの足回り回線の問題ですが、今回の場合むしろプラント情報の機密性が問題になりました。実験について現場サイドではOKが出ていたが、会社の管理部門から待ったがかかったケースもありました。 |
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▲ SEM画像(走査型電子顕微鏡画像)のコラボレーション診断 |
![]() (岡村)ATM over IP技術の開発を行いました。ATM over IPというのは少し変な言葉なんです。ネットワークレイヤの考え方では、IPの方がATMより上ですから。本研究では、DVデータをATMセルで直接通信する装置を用いたのですが、香川県のアクセスポイントであるNext香川と香川大学を結ぶところで、一部イーサネットを使いたいことになり、ATMセルが届かないという問題が発生しました。そこで、イーサネットでもATMセルを流せる技術を開発してそれを使いました。一種のトンネル技術だと思っていただくとわかりやすいかもしれません。 ![]() (安西)ひとつは、プラント不具合に関するマイナス情報を扱うことによる難しさです。DVカメラで撮影させていただいた場合にも、撮影してよい場所、カメラの向きを指定されるなど厳しい条件がありました。 |
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![]() (太田)北九州市にある財団法人九州ヒューマンメディア創造センターが中心となって、地場の企業をITなどの新しい分野と交流を深めるイベントなどがしばしば行われていました。岡村先生は、地域協議会「次世代超高速ネットワーク九州地区推進協議会利用促進部会」で部会長を勤められていて、九州ヒューマンメディア創造センターもこの地域協議会に入っていることもあり、紹介いただきました。香川大学の江原先生からは、日頃からご指導いただいています。新日鉄化学におられて現在は新日化環境エンジニアリングにおられる井上政春氏は、プラント側での協力者として尽力いただきました。仮想プラントとして使わせていただいたけいはんなギガビット・ラボは、北九州ギガビット・ラボに紹介していただきました。北九州市は、ご承知の通り、重厚長大の産業が多いので、新しい産業の育成に熱心です。特に、環境とITが大きなテーマですね。 ![]() (太田)岡村先生がKANMON Project(Kyushu Advanced Network based MONitoring Project)と名づけてくださいましたが、このチームで今後も研究を続けたいと考えています。例えば、プラント内の通信を無線で行いたいなどの研究ニーズも持っています。プラントは広く、構造物も多いので、ケーブルを這わせるよりも無線が望ましいのです。 |
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![]() (安西)やはり一番良かったのは、実際に金属疲労などについても遠隔診断ができることがわかったことです。遠隔コラボレーションツールを使ってみて、思った以上に便利だと思いました。金属工学の分野では、ネットワークの利用がまだあまりすすんでいませんが、十分に可能性があると思いました。日常の業務でも、香川大学の江原先生のような権威の方ともご一緒させていただくケースがありますが、やはりかなり大きなケースに限られてきます。ネットワークを利用すれば、相談をしやすくなります。また、プラント保守の専門家は数が少なく、各地に分散しています。こうした専門家がネットワークを利用して一緒に仕事をできればよいですね。人材教育の効果もあると思います。 ![]() (太田)北九州ギガビット・ラボの存在が大きかったですね。いろいろなアレンジの面でも尽力くださいましたし、場所の提供という意味も大きかったと思います。 ![]() (太田)通信事業以外の一般の民間企業から見ると敷居を高く感じてしまう点が課題といえばいえるかもしれないと思いました。例えば、研究計画書をどう書くべきかを誰に相談したらよいか等、敷居を高く感じさせている面があるかもしれないと思いました。 |
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◆おわりに
文責:JGNウェブ編集部 |
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関連リンク集
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