ギガラボインタビュー VOL.2:北九州情報通信研究開発支援センター(北九州ギガビットラボ) 戻る

住本正 氏
通信・放送機構 北九州情報通信研究開発支援センター センター長 住本正 氏

広岡淳二 氏
通信・放送機構 北九州情報通信研究開発支援センター 副センター長 広岡淳二 氏

通信・放送機構 北九州情報通信研究開発支援センター センター長 住本正 氏
通信・放送機構 北九州情報通信研究開発支援センター 副センター長 広岡淳二 氏

インタビュー実施:2002年 8月 30日
(於:北九州情報通信研究開発支援センター(北九州ギガビットラボ))

◆はじめに

 新幹線小倉駅からほど近い場所にある通信・放送機構北九州情報通信研究開発支援センター(北九州ギガビットラボ)では、研究者をはじめ気軽に立ち寄れるラボとして活発な活動を続けています。今回は、その活発な運営の秘密を教えていただきました。

京都ギガビットラボの皆様
▲北九州ギガビットラボの皆様 (敬称略)
上段 左から 事務員 西河ひとみ、木下裕美子、
研究指導員 安部結花、 山口敏之、井形健史、荒尾太陽、 森本健(8月末退任)、原田正則
下段 左から 研究指導員 松浦芳充、
センター長 住本正、副センター長 広岡淳二、研究指導員 小川博文
JGNと北九州ギガビットラボの関係について教えてください。

JGNを高速道路に例えると、ギガビットラボはサービスエリアということになるでしょう。高速道路あってのサービスエリアですし、JGNあってのギガビットラボです。JGNをうまく活用した地域貢献をしたいと考えています。

北九州ギガビットラボと地域との関係についてはいかがでしょうか?

九州経済圏は、関東や関西のように規模の大きいものではありません。私たちのねらいとしては、九州全体でこのラボを使っていただきたいと考え、そのために様々な活動を展開してきました。結果的には、みなさまのご協力が得られ、かなりアクティビティが高いラボになっていると自負しています。

アクティビティが高くなった理由はどういうところにあるのでしょうか?

 PR活動はかなり積極的に行い、九州全県を回りました。その甲斐あって、福岡県外からの利用者が半数を超えています。九州は全県にJGNのアクセスポイントが整備されていますので、まずは自治体と設置したアクセスポイントの活用方法などについて議論しました。研究者の方々はある意味放っておいても利用していただけますが、企業などにも利用を促進するにはどうすればいいかを一緒に考えました。特に、宮崎県などは非常に熱心で何かと協力し合える体制ができています。
また、 先日、対馬で行われた子供たちのためのIT教室に、運営スタッフとしてボランティアで参加し、その様子が長崎の新聞に掲載されました。
アジア・インターネット・ウェーブ(以下AIW※)について教えてください。

AIWは今年で2回目の開催となりました。日韓の文化交流に力点を置いたもので、IT系のイベントとしては今までで一番面白かったとさえおっしゃってくださる方もいました。例えば、プログラムでは、日韓でITビジネスに携わっている女性だけが参加したパネルディスカッション「韓日IT女性パネル討論」や、「南郷村中継」などがありました。宮崎県の南郷村には、百済の王族が落ち延びてきたと言われる伝説があり、1300年もの日韓の交流があるそうです。そのせいか、来場者も、女子高生や主婦など女性が目立ちました。

※アジア・インターネット・ウェーブとは、韓国と九州の情報交流、経済交流、文化交流を促進するために、韓国の釜山と福岡の間に敷設された光ファイバ網を活用し、釜山広域市、九州地域の多くの企業・団体の協力により、すべてのプログラムをネットワーク上で展開するイベントです。

イベントは裏方が大変ですね。
 AIWは、実はイベント業者の協力を一切仰いでいません。実施に際しては官民一体となった実行委員会を組織し、その中で主に九州総合通信局と西日本新聞社と私どもが中心となり、まさに手作りイベントとして行ってきました。ぜひ来年も実施したいと考えています。
JGNを含めた今後のテストベッドのあり方についてご意見はありますでしょうか。
 産官学の全国規模のテストベッドというJGNのスキームは大変重要ですので、今後ともぜひこのスキームを尊重してほしいと考えています。さらに、地域の情報ネットワークとJGNのリンケージをもっと考えると良いのではないでしょうか。全国複数の地域で自治体などが主体となって超高速の地域情報ネットワークを運営していますが、それら地域情報ネットワーク同士を結びつけるものとしてJGNをうまく使っていくと良いのではないでしょうか。最近、イベントの関係で北海道岩見沢市の方とお会いする機会がありまして、その際、岩見沢市の総括情報化担当の日浦参事よりお話を伺ったのですが、岩見沢市では地域ネットワークのNOC (Network Operation Center)の運営の大半を職員自身が担っているそうです。 アウトソーシングなどの世の中の流れとは一見すると逆行しているように見られてしまうかもしれませんが、自治体の一般の職員が自分でルータなどの専門的な知識を必要とするマシンをセットアップする姿は、他ではほとんど見られないと思います。このように地域の情報化に関して積極的な自治体が全国にいくつかあります。こうした自治体同士が連携できれば、非常に良いネットワークの使い方が生まれてくるのではないでしょうか。
今後ともアクティビティの高さを保って、ご活躍を期待しています。
 閉所しないことを祈りたいですが、閉所式があるとすれば、地域の方々であふれるような、そういう場所にしたいと思っています。
 
  ◆おわりに

 利用者、周辺自治体など北九州ギガビットラボの「応援団」の方々からのコメントが集まっています。賑わいのあるラボ運営の一端がうかがえると思います。住本センター長、広岡副センター長他、ご協力いただきました皆様に感謝いたします。

文責:JGNウェブ編集部

 
 
 

◆(利用者からのコメント)

長崎大学総合情報処理センター長の黒田英夫です。

 北九州ギガビットラボの皆様には、長崎県高度情報化推進協議会ギガビットネットワーク利用促進部会の活動等、長崎県におけるJGN利用促進に対しまして、多大なご支援を賜っており、誠に有難うございます。この場を借りまして、厚くお礼申し上げます。

 当部会において実施しました、「九州ギガビットネットワークシンポジウムinながさき」の開催支援を初めとし、その後開催いたしました「研究事例報告会」などにおいても、ラボの研究事例紹介並びにJGNを活用したデモンストレーション等を行っていただくなど、多くの情報提供をしてくださいました。先進的な研究のご紹介により、長崎県のIT関連者に対しまして、大変良い刺激を与えてくださいました。また、研究活動やイベントに必要な機材の提供や、私どもがJGNを利用した研究を行う際には、研究開発環境を一緒になって構築していただいたこと等、様々な点から本当に助かっております。今後とも北九州ギガビットラボのますますのご発展をお祈りするとともに、いただいているご支援に対しまして厚くお礼申し上げます。

黒田英夫 教授
▲長崎大学 総合情報処理センター長
黒田英夫 教授

汐月 哲夫 助教授
▲熊本大学工学部
汐月 哲夫 助教授
 現在、「力覚情報通信システムの運用実験」というテーマで、JGNを介して熊本大学と北九州ギガビットラボの間で研究開発を行っています。ネットワークを通じた双方向遠隔制御システムの構築を図ることが本研究の目的ですが、その実現化に向けての大きな課題となるものが通信遅延という問題でした。幸いにもJGNという研究開発テストベッドに出会い、この課題についての様々なアプローチを図ることが可能になりました。ただ、この実証実験を行って行くに際し、具体的な実験環境の場をどう構築していこうかと思案していたところなのですが、これもまた幸いなことに、北九州ギガビットラボのスタッフの方々と出会う機会に恵まれ、とんとん拍子に実験環境も構築することができました。

 北九州ギガビット・ラボの皆さんの明るくそして大変オープンな配慮にいつも感謝しております。また、この出会いをきっかけに熊本県内部においてもITを通じた人材コミュニケーションの輪が広がり、地域としての新たな盛り上がりも生まれてきたところです。どうぞ今後とも、幅広いお付き合い、そしてご協力の程、よろしくお願いします。

◆(周辺自治体からのコメント)

 宮崎県庁情報政策課の松本です。

 宮崎県におきましては、今夏、全国で初めて、県内全市町村を高速・大容量の光ファイバーで結んだ「宮崎情報ハイウェイ21」を供用開始いたしました。8月21日に行われました開通式でも、安成九州総合通信局長にJGNを用いた”遠隔御祝辞”を頂戴し、開通記念パネルディスカッションでは、北九州ギガビットラボの広岡副センター長に御参加いただくなど、北九州ギガビットラボの皆さんには大変お世話になりました。

 皆さんとの最初のお付き合いは、平成13年8月の宮崎大学情報処理センターへのJGNのアクセスポイント設置と、その2か月後の「九州ギガビットネットワークシンポジウム」でした。私どもにとっても待望のJGNいうこともあり、北九州ギガビットラボの方々と、今後の利活用方策について多いに議論させていただきました。

 今年5月のAIW2002にも、宮崎情報ハイウェイ21の試験運転も兼ねて、百済王伝説で有名な南郷村から遠隔参加させていただいたのですが、ライブ感あふれるコラボレーションを発揮することができたのも、こうして培われた車座のヒューマン・ネットワークがあってこそだと思います。本当にありがとうございました。

 なお、平成15年度は、全国マルチメディア祭が宮崎県で開催されます。九州では、平成3年の佐賀県以来の12年ぶりということですので、ぜひ九州全体で盛大な”お祭り”にしていきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくご支援のほどお願いいたします。

黒田英夫 教授
▲宮崎県情報政策課
松本啓朗 課長

◆(AIWメンバーからのコメント)

汐月 哲夫 助教授
▲西日本新聞社メディア開発局
嘉悦 洋 部長
 弊社が北九州ギガビットラボと組んだ大イベントは、今年5月の日韓IT交流企画「AIW2002〜e絆〜」でした。JGNネットワークと、新設のKJCNを結んだ日韓イベントで、私は韓国会場で、ギガビットラボの原田正則、小川博文両氏と一緒に仕事をさせていただきました。さまざまなアクシデントを乗り越え、夜を徹してシステムを組む作業は難航を極めました。就寝中に足が攣るほどの激務に耐えた北九州ギガビットラボスタッフの技術者魂に頭が下がります。卓越した技術力と、困難を正面突破する強い意思が北九州ギガビットラボスタッフの両輪であり、それが九州・山口地域を元気づけると感服した次第です。

◆(北九州ギガビットラボ短期利用者からのコメント)

汐月 哲夫 助教授
▲(株)アクシス
大久保課長
 平成11年4月に完成した北九州ギガビットラボを見学した際、その後、何度も自分自身がラボに足を運ぶとは夢にも思っていませんでした。 複数の高精細医療画像を鎌倉〜北九州市間、岡山〜北九州市間で結ぶというプロジェクトを委されてから、JGNについて、その概要を勉強することになりました。 アナログ映像業者にとって、デジタル通信の話は外国語より難しいものでしたが、上記プロジェクトの成功により、全国各地で同様のプロジェクトを推進していくことになりました。これもすべて、わかり易く、根気よくJGNについてはレクチャーしてくれた広岡副センター長のおかげです。 今後も、一般企業への幅広い利用促進活動をお願い致します。
  関連リンク集
通信・放送機構北九州情報通信研究開発支援センター(北九州ギガビットラボ)
西の正倉院 百済の里 南郷村
「夏休み児童ITミニ教室 in 対馬」をボランティアにて開催
北九州市e-PORTプロジェクト
 
JGNウェブ編集部では、インタビューに協力していただけるJGNプロジェクト研究者を募集しています。 自薦、他薦等、JGNウェブ編集部まで、氏名、メールアドレス、電話番号、JGNプロジェクト番号を添えてお知らせくださいますようお願いいたします。
 

お問い合せホームページへのお問い合せ Copyright (C) 2004 TAO All Rights Reserved.