Vol.5 通信・放送機構 岡山情報通信研究開発支援センター(岡山ギガビットラボ) バックナンバー

古川繁雄氏
▲研究指導員
古川繁雄氏

仁科孝一氏
▲研究指導員
仁科孝一氏

鷹家稔氏
▲研究指導員
鷹家稔氏

太田博之氏
▲研究指導員
太田博之氏

 

KIOSK端末の例
▲KIOSK端末の例

 

日食受信風景
▲サーバ室の様子

*1 WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置
「波長分割多重方式」ともいいます。光ファイバーを使った通信技術の一つであり、波長の違う複数の光信号を同時に利用することで、光ファイバーを多重利用し、光ファイバ上の情報伝送量を飛躍的に増大させることができる技術です。

研究指導員 古川繁雄氏、鷹家稔氏、太田博之氏、仁科孝一氏
インタビュー実施:2001年7月9日(於:通信・放送機構 岡山情報通信研究開発支援センター)
◆はじめに
 今月はギガビットラボの紹介です。研究開発用ギガビットネットワーク(JGN)は超高速光ファイバー回線(ギガビットネットワーク通信回線)と5箇所※の共同利用研究開発施設(ギガビットラボ)から構成されています。今回はそのうち、岡山にある岡山情報通信研究開発支援センター(岡山ギガビットラボ)をご紹介します。
※5箇所:つくば、けいはんな、北九州、京都、岡山

◆岡山県のネットワークについて

岡山ギガビットラボが設置されるまでの経緯について簡単にお教え下さい。

 岡山県は数年前から情報化に熱心に取り組んできています。 平成8年から岡山県単独のネットワークとして岡山情報ハイウェイがスタートし、県内で光ファイバーによるネットワークの整備を進めてきました。このような経緯もあり、平成10年度第3次補正予算にてギガビットネットワークの共同利用型研究開発施設を岡山に設置することとなり、光波長分割多重(WDM)を用いた超高速光回線や端末などを配備したトータルな光通信テスト環境として当センターは整備されました。

岡山ギガビットラボのオープンはいつでしたか。

 当センターは平成11年10月にオープンしました。その時点で当センターにあるほとんどの機器が設置されており、ネットワーク試験等は終了していました。従来の岡山県としてのネットワークの経験もあり、このセンターが立ち上がるときに、これといってトラブルはありませんでした。

岡山ギガビットラボの施設はこの建物の中にだけ、あるのですか。

 いえ、この建物のほか、超高速光回線、ユーザーの端末までを含めて、トータルな光通信テスト環境として整備されており、我々はこの岡山県内の高速光回線を含めたギガビットラボの設備をOkayama Gigabit Network(OGN)と呼んでいます。
岡山県のネットワーク環境の特徴を簡単に言うとどのようなものがありますか。

 回線速度がかなり潤沢に確保されていることがあると思います。また、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置が運用されていることも特徴だと思います。WDMはギガラボの中では、京都と岡山の2箇所で運用されています。京都では2地点間の対向に設置していますが、岡山では、3地点間でループ状に設置しています。ループ状に設置することのメリットとして、どこかが不通になったとしても逆ルートで伝送が可能になることがあります。

OGNもJGNと同様に利用料金はかからないのでしょうか。
 OGNは共同利用型研究開発施設として位置付けられていますので、設備利用料金を徴収しています。またOGNは直接の営利目的の利用は禁止されています。料金表はこちらで作成していますので、それをご覧いただければ利用料金の算定が可能です。OGNでは、公募利用と短期利用の二種類の利用方法があります。公募は年に3回行われます。一度の公募では4ヶ月までの期間の利用ができますし、継続利用も可能です。短期利用は例えば一日だけ遠隔講義に使いたいといったニーズに対応するもので、設備が十分空いている場合に認められる利用形態です。
◆研究テーマについて

どのような実験がありますか?

 岡山ギガビットセンターの内部で研究開発を行っているわけではありません。ここの施設を用いた実験としては主なものが6つあります。

  1. WDMの装置は、倉敷サブセンター、岡山県庁、当センターの3箇所をリング上に結んでいます。2.4Gbps及び622Mbpsの回線が利用可能です。トラフィック発生装置や状態監視のツールを利用することができます。
  2. 個人認証技術の研究開発があります。CA(Certificate Authority)サーバ、ICカードの運用などを実験しています。
  3. 高速検索技術の開発もあります。CPU、ネットワークトラフィックにどのくらい負荷がかかると使えなくなるかを調べています。具体的には、図書館の書誌検索を行っています。基本的には文字ベースの検索で、マルチメディア検索ではありません。
  4. ストリーム型トラフィックを発生する装置や、動画像伝送装置があります。これらを使った大容量伝送の実験を行っています。
  5. 分散DB関係では、県内の市町村が協調して行政サービスをするための協調分散データベースの研究などに取り組んでいます。
  6. 遠隔利用関係では、いわゆるKIOSK端末を使ったものや、CATVのネットワークとの相互接続などの実験を行っています。

以上のようなところでしょうか。

 

◆ギガラボの業務について

岡山ギガラボでは何人の方が働いておられるのですか?

 非常勤のセンター長を含めて7人です。副センター長以下残りの6名は常勤です。

一日の仕事の流れはどのようなものですか?

 機器の管理業務が主な業務です。それに加えて見学対応、各実験の技術支援を行っています。

具体的にはどのような業務があるのですか?

 まず、OGNの募集について相談に応じる仕事があります。OGN利用申込の書式の書き方を中心に相談に応じます。これが年3回の公募の時期に対応しています。その他、説明会や案内のホームページ作成なども行います。公募期間終了後、審査委員会で有識者の方々に集まっていただいて審査を行いますが、このときの事務全般も行います。他には、もうすぐITフォーラムを行いますが、このようなイベントの運営も行います。(※ITフォーラムは終了しました)

一機器の管理業務とは具体的にはどのようなものですか?

 WDMなどの最新の機器は警報装置の情報を中心に管理しています。パソコンやワークステーションをサーバとして使っている場合には、OSのバージョンを上げたり、アクセスログをチェックしたりといった業務が必要になります。スタッフの中でも一番多い人は1人で15台のサーバを管理しています。しかし、例えば、テレビ会議システムでは岡山県下に200台が配備されていて全てを岡山ギガラボのスタッフだけでは管理しきれませんから、保守契約を結んで、管理を委託しているものもあります。直接機器に関すること以外でも業務は発生します。例えば、電柱が移転した場合には光ケーブルのルート変更手続きが必要です。

他にはどのような業務がありますか?

 また、WDMなどの最新の機器が配備されていることもあって、いろいろな方が見学に来られます。韓国からも見学にこられました。岡山大学の情報工学の新入生に対しても設備説明を行ないました。施設見学は、12年度66件(526人)ありました。見学申込書[MS-Wordファイル]は、岡山ギガラボのホームページからダウンロードできます。

岡山ギガラボではJGNのプロジェクトについても手続を受け付けているのですか?

 それは行っていません。東京・芝にあるTAOが窓口になります。もっとも、JGNと接続して実験を行う場合の利用者へのアドバイスなどは実施しています。今後は、JGN利用支援の方策を考えているところです。

JGN関連では他にはどのような業務がありますか?

  他のラボとの連携としてJGNを使ったイベント協力を行います。例えば、最近では北九州ギガビットラボを中心に行ったAsian Internet Waveの協力を行いました。

今後力を入れていこうと考えておられるのはどのようなことですか?

 一言で言えば、利用推進のために種々の方策を考えています。まず、OGN、JGN利用支援があります。さらに、IPv6研究支援、ネットワーク技術コンサルティング、共同研究のコーディネート、利用PR、ネットワークイベントへの参加協力、地域協議会との連携などもより積極的に取り組もうと考えています。また、これまでも大学生の見学受け入れは行ってきましたが、一歩進めて、学生が施設を利用した実習を行なえば単位取得できるよう大学を含めた関係機関との調整をはじめています。

 

 
◆おわりに

 以上、ハードウェアの管理にとどまらず、地域と連携しながら、超高速ネットワークの利用促進にますます大きな貢献が出来るよう努力しているギガビットラボの現在について話していただきました。岡山ギガビットラボではWDMなどの最新鋭の通信設備が実際に運用されている現場を見学することができます。(※見学申込書[MS-Wordファイル])また、各ギガビットラボでは広く参加者を募集し、超高速ネットワークを身近に感じられるような様々なイベントも行っています。今後もギガビットラボの活動に注目していきたいと思います。

文責:JGNウェブ編集部

  関連リンク集
岡山情報通信研究開発支援センター (岡山ギガビットラボ)
岡山県情報政策課
岡山県高度情報化推進協議会
 
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