VOICE  総合テストベッドインタビュー  Vol.003 

<「IoTキャラバンシステムテストベッド」研究リーダ・インタビュー>

「研究フィールドで簡単にIoT環境を構築したい・試してみたい」という
 ニーズに応える『IoTキャラバンシステムテストベッド』
 一般ユーザ向けの利用申込もスタート、新しい展開へ!

  ― 一気通貫でIoT研究開発をサポートするテストベッドの全容とユーザメリットとは ―
第3回総合TBインタビュー/九州工業大学 池永全志教授
■九州工業大学 大学院工学研究院 教授
「テストベッド分科会」 コアメンバ / 池永 全志(いけなが たけし)氏 

当センターが事務局を務める「テストベッド分科会」で取り組んできたテーマ別検討会の1つ『IoTキャラバンシステムテストベッド』が一般ユーザの皆様にご利用いただけるようになり、利用申込がスタートしました。
第3回インタビューではこの機会を捉え、『IoTキャラバンシステムテストベッド』の研究リーダである九州工業大学の池永教授に、本テストベッドの全容をお聞きしました。
  <インタビューのポイント>
   ●『IoTキャラバンシステムテストベッド』をテーマとして検討した背景と概要
   ●コアメンバによる利活用事例とユーザメリット
   ●『IoTキャラバンシステムテストベッド』が提供する機材
   ●今後の『IoTキャラバンシステムテストベッド」の研究開発の方向性

1. ニーズに合わせて現場でIoT環境を構築できる可搬型システムのテストベッド
― 現場に必要な機材を持ち込んで一時的に試すことができる、新しいタイプのテストベッドを目指して ―

───『IoTキャラバンシステムテストベッド』*1は、「テストベッド分科会」*2のテーマ別検討会の1つとして、2017年4月からコアメンバ会議で議論・検討されてきたとお聞きしていますが、どんなテストベッドなのでしょう?

池永教授(以下、池永):あまり畏まった話ではないのですが、まずはIoTからお話します。IoTはInternet of Thingsの略で最近よく聞かれる言葉だと思いますが、これ自体かなり複合的な技術分野を束ねているので、それぞれの分野の人によって定義が異なっています。その中で私が考えるIoTとは、現実世界をインターネットなどのネットワークの中につなぎこんで使うものです。現実世界の情報をセンサなどで取り込む「センシング技術」、センサやサーバなどをつなぐ「ネットワーク技術」、さらに集めてきた情報を蓄積・加工処理して可視化する「情報処理技術」、これら全てを融合して1つのシステムとして動く感じですね。こんないろいろな技術分野をすべて理解して簡単に運用できる研究者はあまりいませんから、IoT関係の研究開発を行おうとしたとき、得意なところ以外の分野についてはよくわからないのが普通です。ですから例えばネットワーク技術関連の研究者なら、センサや情報処理の技術部分についてサポートしてくれる仕掛けがあって、しかもすぐに活用できる環境ならば、研究が格段に進むだろうと考えたわけです。

───IoTの研究開発には多岐にわたる分野の技術を駆使する必要があるのに、必ずしも全部が得意な研究者は多くはないから、アシスト機能を持った仕掛けがあると便利でいいですね。

九州工業大学 池永教授
九州工業大学 池永教授
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池永:はい、これらの技術分野全体を見られる方は、本当に少ないです。ですから、コアメンバとしてIoT時代に必要とされるテストベッドを考えたとき、得意でない分野や足りない部分をカバーしたり助けてくれる仕掛けが本当にあればいいなと思いました。IoTの性質上、課題を持っている研究者・技術者が何かを試したいと考えたとき、その課題を自らどこかのテストベッドに持ち込んで試す場合もあれば、新しいサービスを作るときなどその実施場所でなければ試せない場合などもあるはずです。後者の場合は、まず課題となるのは「ネットワークはどう準備しよう?」ということですから、その場所に必要な通信インフラ機能を持ち込んで実証実験をアシストするテストベッドを用意してはどうかと考えたのが、「IoTキャラバンシステムテストベッド」、通称キャラバンテストベッドを発想する始まりでした。

───場所的に固定されたテストベッドではなく、研究者・技術者が使いたい場所に持ち込むことができるテストベッドなんですね。テストベッドが動くから、キャラバンという意味ですか?

【図1】「IoTキャラバンシステムテストベッド」のイメージ
【図1】「IoTキャラバンシステムテストベッド」のイメージ
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池永:そうです。キャラバン隊が求められれば砂漠の中を点々と動いていくように、このテストベッドも必要な場所に持ち出され、使い終わったら返却されて、また次の場所に移動して使われるということを目指し、キャラバンという名前をつけました。つまり、この「IoTキャラバンシステムテストベッド」は、要望に合わせて現場でIoT環境が構築できる可搬型システム一式を現場に持ち込むテストベッドなんです。実際、IoTの実証実験は大規模に日本全体でやるというより都市や地域で行うものが多いと思いますので、それに対応した新しいタイプのテストベッドです。

───どういうところで利用されているのでしょう?

【図2】「キャラバンテストベッド」の高知防災訓練への適用
【図2】「キャラバンテストベッド」の高知防災訓練への適用
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池永:2017年4月から検討と機材の整備をはじめ、2018年度まではコアメンバで事例を積み上げながら、どういうところで使えるかをユーザの皆さんにお見せできるようにしている段階です。スタートは2017年11月に実施された高知防災訓練*3 でした。高知工科大学の福本先生を中心に、無線LAN技術(WiFi)を用いた設置型NerveNetの機材3台を持ち込み、広い道路を挟んで建つ高知医療センターと高知県立大学をつないで広帯域の映像情報を共有する実証実験を行いました。このような通信設備は既に各施設に用意されていますが、平常時は別の用途で使われており、それを防災訓練のためだけに外して使うことはできません。ですから、今回のようにイベント的に利用する時にはキャラバンテストベッドを持ち込んで使えたことは良かったですし、訓練参加者に映像共有の有効性も認識してもらいました(【図2】参照)。これがキャラバンテストベッドのベースとなったといえると思います。

───なるほど、イベントでも使えるんですね。他のコアメンバのキャラバンテストベッド利用事例についても教えてください。

【図3】「キャラバンテストベッド」の臨時地震観測への適用
【図3】「キャラバンテストベッド」の臨時地震観測への適用
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池永:この次のコアメンバ利用としては、東北大学・内田先生が待受け地震の臨時観測用に、可搬型NerveNet2台を使った実験を実施しました(【図3】参照)。定常的な地震観測と異なり、待受け地震観測では一時的に観測点を増設して一定期間観測を継続するので、スタンドアロン観測や衛星通信によるオンライン観測は向いていないため、長距離で低帯域での伝送が可能なLPWAタイプの可搬型NerveNetに加え、太陽光電源を使って臨時地震観測網を構築しています。これはイベント利用ではなく、臨時的な利用例ですね。またこれに先立ち、2017年12月に同じ機器を使ってトライアルとして実証実験も行っています。
また、広島大学・近堂先生は、脳波データ収集の実証環境エリアの拡大用アクセス網への適用を目指してNerveNetとLPWA(LoRa)試験機の実験を行いました。

─── 一定期間の臨時利用やトライアルにもキャラバンテストベッドを使えるのは、いいですね。ところで、脳波データ収集はどのような目的で行われるのでしょうか?

【図4】「キャラバンテストベッド」の脳波データ収集アクセス網検証への適用
【図4】「キャラバンテストベッド」の脳波データ収集アクセス網検証への適用
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池永:人の感性情報を、脳波を測定するセンサなどを利用して収集することが目的です。今回は広島大学構内にNerveNetやLPWA(LoRa)試験機を持ち込んで動作確認を行いましたが、このうちLPWA(LoRa)試験機を用いた実験では、今後の研究を想定した実証環境エリアを用意し、GPSを実装した子機を持って動いてもらいながら一定時間ごとに基地局とのLPWA通信の通信状態を収集するトライアルを行っています。
試験の結果はリアルタイムに地図上にマッピングされる仕組みになっており、【図4】の下側写真のように測定結果を確認できるようになっています。

*1:IoTキャラバンシステムテストベッド (略称:キャラバンテストベッド)
「テストベッド分科会」のテーマ別検討会の1つ。自薦・他薦により参加いただいたコアメンバ会議で、IoT時代に対応できるテストベッドに関する深い議論を行っている。
「コアメンバ会議」を活用したテストベッド分科会の進め方とテーマ別検討会
「コアメンバ会議」を活用したテストベッド分科会の進め方とテーマ別検討会
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*2:テストベッド分科会
ビッグデータ・人工知能(AI)等に関する技術実証・社会実証を促進するテストベッドの要件とその利活用促進策の検討を行うことを目的として設立された検討部会。当センターがこの事務局を務めている。

テストベッド分科会の主なテーマ別検討会とその内容
テストベッド分科会の主なテーマ別検討会とその内容
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コアメンバとして「キャラバンテストベッド」開発に取り組んでこられた先生方

コアメンバとして「キャラバンテストベッド」開発に取り組んでこられた先生方

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*3:高知防災訓練
南海トラフ地震による高知市の水没を想定し、高台に隣接している高知医療センターと高知県立大学を復興拠点として活用できるよう、毎年実施している訓練。2017年11月の防災訓練では、災害時にセンサノード接続網を臨時設置することを想定し、「処置エリア」の大学側と「災害対策本部」の病院側の間でスムーズに情報が共有できるよう、映像情報共有の実証実験を行った。


2. 「IoTキャラバンシステムテストベッド」のメリットと利用できる機材
― 課題を持っているユーザは必ずしも研究者だけではないので、その方達にアピールするには? ―

───防災訓練での映像伝送、地震の揺れ情報の伝送、本格的な実証実験に向けた事前の通信試験など、いろいろな事例に対応できる点とともに、一時的な利用やトライアル的利用に使える点がキャラバンテストベッドのアピールポイントでしょうか?

【図5】「キャラバンテストベッド」は現場で試せるテストベッド
【図5】「キャラバンテストベッド」は現場で試せるテストベッド
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池永:はい、現場に持ち込めますので、イベントや短期間の実験などで有用なテストベッドです。また、実証実験の前にトライアルとして現場で機材を使うときなどにも、いろいろ利用いただけると考えています。本番の実験前に試してうまくいけば、その機材を予算化して購入できますし、うまくいかなければ「買わずに借りておいてよかった!」ということになりますよね。特に無線通信の場合は環境依存の要素が強く、理論上はうまくいくはずが実証実験の現場に持っていくと障害物があったりしてうまくいかないことがよくあります。その場合でも、距離設計を見直して必要な数量や機材を変更できますから、無駄を減らすことができます。
また最近では総務省さんが「地域IoT実装」という言葉を使われており、自治体向けに「IoTの検証ではなく、実用化するサービスとしてきちんと動かそう」という取組みが始まっています。とはいえ、いきなり地域IoT実装をするのは難しいですから、自治体はまず検証を行うための予算化をしなきゃいけない。でも予算を使ってうまくいかなかったら問題になるという感じで、結構ハードルが高いのが現実のようです。そんなときこそ、キャラバンテストベッドを使ってトライアルしていただけたらなぁと思っています。
ですから、多くのこのような皆さんに使っていただくためには、どういうものが必要なのかを見極めてキャラバンテストベッドとして整備していかなければいけません。それぞれの実証実験ごとに利用するセンサは異なりますが、センサをつなぎさえすればIoTの実証実験を始められるようなものを共通化していけばいいのではないかと考えました。

───ということは、キャラバンテストベッドでは、どんなものを提供されているのでしょう?

【図6】「キャラバンテストベッド」で提供している機材
【図6】「キャラバンテストベッド」で提供している機材
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池永:共通化にあたり必要とされる状況を想定しながら、現在、【図6】【図7】のようにエンドデバイスからクラウドまでのIoT環境を構築できるものをほぼ準備しています。【図6】の写真にあるような機材を現場に持ち込んでセンシングした情報を集めるだけでなく、蓄積・加工するためのコア網やクラウドはNICT総合テストベッドがその役割を担う仕組みになっています(【図7】の上側を参照)。
ですから、最初にお話した(1)現実世界の情報をセンサなどで取り込む「センシング技術」、(2)センサやサーバなどをつなぐ「ネットワーク技術」、(3)集めた情報を蓄積・加工処理して可視化する「情報処理技術」、これらのIoT研究に必要とされる全てがキャラバンテストベッドには一気通貫で揃っていますので、必要に応じて機材やコア網・クラウドなどを選んでご利用いただけます。

【図7】要望に合わせて利用できる「キャラバンテストベッド」の機材と機能
【図7】要望に合わせて選べる「キャラバンテストベッド」の機材と機能
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───今までのテストベッドと違って可搬型なので、機材の貸出サービスのようにも見えますが・・・。

池永:単なる貸出だけで終わるのではなく、テストベッドとして利用事例やノウハウなど次につながるものの共有を行い、次に利用するユーザにとって有用な情報を増やしていきたいと考えています。もちろんデータはユーザのものですし、全部でなくてもいいですが、互いに共有ができれば「こんな風に使える」「こういう方法を試せばいいんだ」というようになり、いろいろなユーザの発掘にもつながるはずです。
そして、このキャラバンテストベッドのバックには多くのNICTの研究者や我々のようなコアメンバもいますから、既存の機材の組み合わせで解決できなくても「必要ならば一緒に考えましょう」「新しい研究を一緒にしましょう」という体制があるということが大きなポイントだと思います。

───先ほどの自治体のお話にもあったように、IoTを使って何かをやろうと思うユーザは研究者などの専門家とは限らず範囲が広いと思うので、ノウハウが使えたり、バックアップ体制があるのはメリットだと思います。

池永:そうですね。同時に私たち研究者にとっても、自分たちが考えていなかったニーズを外から持ち込んでもらえるのはうれしいことなんです。どう解決すればいいかという新しい研究テーマに取り組める可能性がありますし、今までのテストベッドでは十分にできないという場合には、このキャラバンテストベッドのように現場に持ち込める機材を使ってノウハウを貯められますし、研究開発の頭出しができると思います。
こういう蓄積されたノウハウを示すことによって、多くの課題を持っている人に「NICTに相談すれば何か解決できるかもしれない」と思っていただけるようになると思いますし、テストベッドの利用が進んでIoTに関する研究テーマもどんどん広がっていく相乗効果も期待できると考えています。



───最近は農業や漁業でも若手の方たちがグループを組んで新しい取組みをされているというニュースや記事を目にしますが、そういう身近なところに課題を持っている方たちに使っていただきたいですね。

池永:はい、課題を持っている人は自分たちでいろいろ検討されていると思いますから、お金をかけて実証実験をしようとする前に、試しに使えるキャラバンテストベッドがあることを伝える機会があればいいと思っています。
SCOPE*4などの公募に応募する前にもトライアルがある程度必要だと思うので、使ってみてから応募していただくのもいいかもしれませんね。また、先ほどもお話した高知防災訓練などのように、研究者だけでなく一般の課題を持っている人たちが集まるイベントなどで「お金をかける前にトライアルできる」ことをアピールしたりして、本当に必要な人達にキャラバンテストベッドの情報がきちんといきわたるといいと思います。

───なるほど! 今まで、キャラバンテストベッドを含めて、テストベッドを利用促進するときのターゲットは研究者だと思っていましたので、目からうろこです。

池永:キャラバンテストベッドも総合テストベッドもIoTのためのものだからですね。JGNが始まったときはネットワーク研究者がターゲットでしたから、彼らにとってテストベッドの意味もわかりやすく、利用促進も進めやすかったと思います。しかし、IoTの時代に入ってターゲットが広がり、その中には「テストベッドって何?」という人たちも増えましたので、課題を持っている人たちを見つけてきちんと情報を伝えていくことがより大事になります。そのためにも、研究者たちには事前にたくさん使ってノウハウを貯めていただきたいと思っています。その貯まったノウハウがあれば、研究者以外で課題を持っている人達にとっては自分たちの課題に近いサンプルを探すことができるので、利用しやすくなるのではないでしょうか?

───ホームページでもわかりやすい情報やサンプル事例を掲載していくことが大事ですね。また、研究者にもそれ以外の人たちにも、イベントでチラシを作ってアピールしたり、ピンポイントでダイレクトメールも送りたいくらいではないでしょうか?

池永:ピンポイントは難しいですし、ダイレクトメールはちょっと(笑)・・・。もし届いたとしても、 例えば農家の方が「すぐ使いたい」と言ってくるにはハードルが高いでしょう。
先ほどの地域IoT実装に向けた現状の流れからみると、たぶんですが、課題を持って困っている場合、自分で始める前に各地域で相談したりサポートしてくれる人がいて、その人経由で検証や実証実験が進んでいくのだと思います。相談・サポートは各地域の自治体やその周りの公益法人、農協・商工会議所などの方たちが担ってくださっていると思うので、まずはその方たちにキャラバンテストベッドの内容やメリットをわかっていただくのも、いいのではないでしょうか?

*4:SCOPE
戦略的情報通信研究開発推進制度の略称。ユビキタスネット社会を実現するために総務省が設定したICT分野の戦略的な研究開発重点領域において、イノベーションの結実を促進する開発・実証フェーズにある研究開発課題の提案に対して、研究資金を配分している。
【戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)のページ】

3. 今後の「IoTキャラバンシステムテストベッド」の方向性は?
― 「整備」から「展開」のフェーズとして、利用手続きの簡略化・マニュアルの充実へ ―

───利用促進のためには、NICTと課題を持つ人をつなぐ中間の人たちにもアピールすることが大事なんですね。そのために、コアメンバや事務局で準備されていることや計画されていることはありますか?

池永教授
池永教授

池永:キャラバンテストベッドを使ってみたいと思っていただけたら、次は利用手続きをできるだけ簡単にしなければいけないと考えています。手続きが面倒だと、そこで利用をやめてしまう場合もあるからです。
そこで、事務局と相談しながら、まずキャラバンテストベッドの機材のうち、JGN等のコアネットワークに簡単・セキュアに接続できるIoT-GWの試用を簡単にできる手続きを準備しています。(【図8】参照】)。ポイントは次の3点になります。

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1.「NICT総合テストベッド活用研究会」への参加申込をいただくと、すぐに利用可能
 ※本研究会はNICTと共同研究契約を締結済ですので、総合テストベッドを素早くお試し的に利用可能です。
2.コアネットワークへの複雑な接続設定はNICT側で準備するので、つなぐだけで簡単に利用可能
3.利用申込だけでなく、利用終了の手続も簡単な仕組みを用意
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【図8】キャラバンテストベッド利用手続きの整備・簡易化
【図8】キャラバンテストベッド利用手続きの整備・簡易化
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【図9】GitHub上に公開されているキャラバンテストベッドのマニュアル
【図9】GitHub上に公開されているキャラバンテストベッドのマニュアル
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また、先ほどお話をしたようにコアメンバが積み上げている事例やノウハウと同様、マニュアルも作り始めています。このマニュアルについては単なる機器の使い方というより、事例に合わせた機器の組み合わせ方や設定の可能性、データの取り方なども含めて整備していければと考えています。
現在、インターネットのGitHub*5上にNerveNetとLPWA(LoRa)試験機のマニュアルを公開していますので、ユーザの皆さんだけでなく利用前の方もご覧いただけます。今後も他の機材の利用事例やマニュアルを充実していく予定ですが、ユーザの皆さんもこのGitHubにノウハウや使い方を追加していただけるので、ますます進化する可能性もあると思っています。
 <参考>公開している「IoTキャラバンテストベッドマニュアル」

───多くのユーザに使っていただくことを想定すると、同時に同じ機材を使いたいということもありそうですが・・・・。

【図10】利用可能な主な機材と準備数量<2018年度>
【図10】利用可能な主な機材と準備数量<2018年度>
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事務局:準備を進めてきた結果、現在キャラバンテストベッドの機材は、それぞれ3セット以上用意しております(【図10】参照)。

池永:機材の機能、特に無線通信の規格についての対応などはこれからもみていかなければいけないと思いますが、これからは、「整備」から利用を促進する「展開」へとフェーズが移ってきています。コアメンバによる利用実績の積み上げに加え、全国各地域のさまざまな活動やイベントに参加したりして一般ユーザにアピールしていきたいですね。利用者が増えるほど事例やノウハウが増え、さらにアピール度がアップするはずですから。 
事務局:
はい、一般ユーザの利用申込もスタートし、「テストベッド分科会」サイトのキャラバンテストベッドページで、利用のご相談用の電話番号・ご相談専用メールをご案内しております。コーディネータが対応いたしますので、課題を持つ方たちから直接でも自治体や公益法人など地域でのまとめ役の方でも大丈夫ですので、お気軽にご相談ください。

───いよいよ「整備」から「展開」ですね。どんなユーザや利用方法が増えていくのか、楽しみです。ありがとうございました。

<2018.12/第12回コアメンバ会議前にインタビュー>


【キャラバンテストベッド/総合テストベッドに関するお問合せはこちら】
  tb-info[アット]ml.nict.go.jp

*5:GitHub
開発者がチームで作業をするときに利用するバージョン管理ツール「Git」は、プログラムのソースコードだけでなく、画像やEXCELなどあらゆるファイルを管理可能。
「GitHub」はそのGitの仕組みを利用して、世界中の人々が自分の作品(プログラムコードやデザインデータ、マニュアルなど)を保存、公開することができるようにしたウェブサービス。Gitは基本的にコマンドラインツール(ターミナルなどを使ってキーボードで扱うこと)だが、GitHubはWEB上でグラフィカルに扱う(マウスでポチポチする)ことができるのが特徴。
「IoTキャラバンテストベッド」ページ
「キャラバンテストベッド」ページもご覧ください。
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