CyReal実証環境(全体概要)
CyReal(サイリアル)実証環境は、IoTやCPSに関する技術の検証を念頭においた物理的な事象の取り込みを、シミュレーション要素の導入により可能とする、CyReal環境のプラットフォームを提供します。サイリアルの構成要素を含め新たな機能を柔軟に導入することで、循環進化を可能にするプラットフォームとして開発を進めています。
開発中のCyReal実証環境の特徴
StarBEDはコンピュータで構築されているので、そのままではコンピュータ上で動作するOSやアプリケーションソフトウェアそしてハードウェア実装そのものの検証のみしか出来ません。 ですが、現在はCPSやIoTといったキーワードから、物理空間とICTが密接に関わり、それぞれが相互に情報をやりとりし、そしてICTによる制御が実際の物理空間までおよんでいます。こういった技術検証を行うためには、コンピュータだけでなく、物理現象をも対象とした検証が必要になります。 これを実現するのがCyReal実証環境です。CyReal実証環境では、従来StarBEDが対象としていたICT実装そのものとエミュレータに加えて、物理現象 --たとえば人の移動や空間の温度や湿度 -- といった情報をシミュレータで計算し、実験の各ステップで必要な情報をエミュレータや実機に提供することで実機、エミュレータ、シミュレータといった異なる抽象度の要素を組み合わせて検証を可能にします。

多端末エミュレーション
多端末エミュレーションは、基地局、移動する端末が多数存在する状況において、有線・無線による通信の接続状態・帯域・遅延等を再現し、アプリケーションの動作検証や性能評価を可能とするテストベッド機能です。エミュレーションとは、装置、ソフトウェア、システムの挙動を別のソフトウェアなどによって模倣し、代替して動作させることを指します。
多端末エミュレーションでは、Socket、または、ネットワークインターフェイスの挙動をソフトウェアによって通信の状態に応じた挙動として再現し、アプリケーションの動作検証や性能評価を可能とします。通信の状態は多数の端末や基地局の間の位置関係等に応じて計算によって求めます。端末の種類・数・移動軌跡は、擬似的に自動生成、あるいは、取得済みの履歴に基づくシナリオを登録することによって定義できます。
多端末エミュレーションでは、レポジトリを含めたアプリケーション開発環境がWeb UI経由で利用可能となっており、ブラウザで操作を完結させられます。また、実行ログ(通信状態含む)をデータベースに格納しており、可視化ツール(Elasticsearch 等)による可視化に対応しています。
典型的なユースケースとしては、故障診断やナビゲーション等向けにコネクテッドカーやセンサー等から大容量データを収集・分析するアプリケーションがあります。都市の上を移動するコネクテッドカーやスマートフォン等の多数の移動体同士の通信状態や、移動体と固定局間の通信状態を本エミュレーションによって再現し、動作確認や性能検証が可能です。

利用手続き
詳細ならびに必要な書類、NICT総合テストベッド利用規約及び利用ガイド等についてはNICT総合テストベッドの当該ページをご覧ください。
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