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JGN-Xインタビューvol.006

JGN-X研究者インタビュー】インターネット経由でご利用いただけるJGN-Xの新しい形『PIAXテストベッド』

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3. インターネット経由で、全国500の仮想マシンにアクセスできるPIAXテストベッド!
― ブラウザベースで、実験プログラムの配信・実行、ログ収集も簡単 ―

───バージョン3のPIAXリリースに向けて準備中とのことですが、PIAXテストベッドがどのように進化していくのか、今後について教えてください。

寺西:パンフレットにも書いてありますが、PIAXテストベッドのサービススケジュールは、昨年(2012年)6月のパイロット版開始、今年4月の一般ユーザ向けサービス開始に続き、来年4月にコンピュータ数増強と機能追加を予定しております。センサー機能なども組み込み、実際に配置されたセンサーを使った実験などもできるようにしていこうとしています。

───どういう方たちに、このテストベッドを使っていただきたいとお考えですか?

寺西:自由なプログラミングができる環境を提供することが目標ですので、特に、IoTやM2Mの研究者の方たちに使っていただきたいと思っています。もちろん、IoTやM2Mに関わるネットワークの研究者の方も含まれます。
それに加えて、アプリケーションを作っている方たち。エージェントなどを駆使してデータを解析し、価値のある情報を見つけ出して、ユーザにフィードバックするようなアプリケーションを作りたい方たちにPIAXテストベッドを使っていただき、実際に全国レベルで使える環境で検証していただきたいですね。
これらの想定ターゲットには大学の研究者も企業の方もいらっしゃいますが、現在ご利用いただいているのは、主に大学の研究者の方々。基盤の上でロジックを考えて、いろいろな論文のデータを取ったりされていますね。パンフレットに載っている事例では、それぞれのセンサー情報などの状況に応じた対応ロジックを「自律的に動くエージェント」として組んで実装し、検証を行っています。これなら、多くのノードにいちいち指示を出さなくても、状況に合わせて処理をして、情報が自律的に動き回ってくれるんです。耐故障性も、そもそも自律的に対処することによってできる機能ですから、これもエージェントを使う恩恵の1つです。

───う~ん、なかなか難しいですが、多くのノードがあるほど、自分で考えて自動で処理してくれる「自律的なエージェント」を組み込めるのは、確かに効率的そうです。

寺西:はい、PIAXテストベッドでは、自律的なエージェントを実装し、自由なプログラミングができる環境を提供できるようにすることが、目標ですね。
もちろん、JGN-Xですから全国規模のテスト環境です。2013年4月現在、札幌・大手町(東京)・小金井(東京)・大阪・けいはんな(京都)の5つのJGN-Xアクセスポイントに接続された500の仮想マシン(VM)をノードとして、オーバーレイネットワーク上でエージェントを分散実行させる実験が可能です。(図3-1参照)

───PIAXテストベッドは、今までのJGN-X以上により多くの方にご利用いただける仕組みだとお聞きしています。それはどんなものなのでしょう?

寺西:実は、PIAXテストベッドの場合、全国500台の仮想マシンへのアクセスは特別な装置を準備する必要はなく、インターネットのブラウザから専用ポータルサイト(http://piax.jgn-x.jp/)経由で利用可能だということです。ですから、ネットワーク接続の特別な知識や専門スタッフがなくとも、簡単に利用できますし、各仮想マシン(ノード)へのプログラムの配布や実行、リアルタイムでの処理ログ収集もここから素早く行うことができます。(図3-2参照)
全国レベルでの研究開発を行う環境が、インターネット経由で簡単にワンタッチで使えるというのは、特筆すべきセールスポイントだと考えています。

事務局:JGN-Xの事務局担当として、一言追加させてください。新世代ネットワークに向けた要素技術は、どうしても難しく複雑な設定をユーザとやりとりをする必要があり、利用開始までに時間がかかりました。その点、PIAXは、インターネットを利用してユーザが利用申請~設定まで簡単にできるため、非常に早く利用いただけます*1。ここも、利用者にとって、使いやすいところの1つだと思います。

寺西:このテストベッドのレイヤ構成は、テストベッド管理者(運用者)が設定を行う物理・仮想・基盤の3つのレイヤの上に、ユーザ自身が設定により利用できるオーバレイとエージェントの2つのレイヤが重なっています。専門的な知識が必要な物理・仮想・基盤のレイヤ部分はテストベッド管理者が設定してくれるので、心配無用です。(図3-3参照)
利用者はインターネット経由でブラウザからPIAXテストベッドにアクセスし、パッケージを起動して利用するだけで、自動で仮想ネットワーク上のリソースの割当要求やノード割当が行われるシンプルな手順。この両面からみても、利用者は自分たちでやりたい実験やプログラムに集中していただくことが可能だと思います。(図3-4参照)

───利用者にやさしいテストベッドですね。最後に、これからのPIAXテストベッドのユーザに向けて、一言お願いいたします。

寺西: PIAXテストベッドは、ユビキタスに限らず、世の中にあるセンサーやコンピュータを組み合わせた自由なサービスのプログラミングや、そのサービスを試せる環境を目指しています。難しいネットワーク設定など気にせずにご利用いただけますし、さらに使いやすいようにバージョンアップもしていきますので、より多くの方に、気軽にご利用いただきたいと思います。

───寺西さん、ありがとうございました。

●インタビューを終えて
インターネット経由で利用でき、ワンタッチで設定も可能なPIAXテストベッド。JGN-Xの新世代ネットワークの要素技術の中でも、感覚的にいろいろ使いやすいのではないかと思いました。
来年度に向けて、PIAXがバージョン3になりユーザ専用のオーバーレイネットワークも作れるようになれば、より研究開発での利用シーンが広がるとのこと。期待が広がるインタビューでした。

【JGN-X及びPIAXテストベッドに関するお問い合わせ先】
  jgncenter@jgn-x.jp


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PIAXテストベッドのリーフレット
PIAXテストベッドのリーフレット


※図をクリックしてPDFをご覧ください






PIAXテストベッドのネットワーク構成
【図3-1】
PIAXテストベッドの
ネットワーク構成(2012年6月現在)


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PIAXテストベッドポータルサイト
PIAXテストベッドの
専用ポータルサイト
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※図をクリックしてご確認ください



PIAXテストベッドの利用イメージ
【図3-2】
PIAXテストベッドの利用イメージ


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*1:PIAXの利用について
利用開始に当っては、専用ポータルサイトでのオンライン利用申請が必要です(JGN-Xユーザのみ)。その処理が完了すると、登録したユーザIDとパスワードでログインし、利用者は割り当てられた仮想マシン上での利用が可能となります。


PIAXテストベッドのレイヤ構成
【図3-3】
PIAXテストベッドのレイヤ構成


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PIAXテストベッド構成
【図3-4】
PIAXテストベッドの構成


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  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
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